概要
自動送り機のような特定の基板の加工に特化したロボットは、生産数増加への対応や作業員の負担軽減などの観点から、生産効率を大幅に向上させることができます。しかし、全ての基板に専用のロボットを開発するとなると、開発コストの増大や設置場所の確保などの問題が生じます。特定の基板に特化することなく、あらゆる基板の加工を行えるロボットがあれば、1台のロボットが一人の作業員として作業することが可能となり、熟練作業員を新たに一人雇ったときと同じ効果が発揮できます。
これらの内容から、汎用型自動生産機1号機を開発しました。基本的な動きは自動基板送り機と同じで、基板の取り出し・プレス加工・排出等の動きを行いますが、カメラを搭載している点で異なります。形状やパターンの違うプリント基板や無地ベーク材料など、様々な基板を扱えるようにするために、カメラで基板の特徴点を捕らえ、定められた位置に正確に基板を投入できるようになっています。
ロボットアーム
基板形状や大きさに関係なく、汎用的に搬送が行えるようにするために、ユニバーサルロボット社の「UR10」を採用しました。これは人共存型のロボットで、安全柵無しでの運用が行えます。ダイレクトティーチングや設置の容易さなど、従来の産業用ロボットを導入する場合と比べて敷居が低いことから、このロボットを選定しています。
基板位置測定機構
200万画素カラーカメラを使用して、基板の角やフィデューシャルマークなどの特徴点を認識し、基板の位置と傾きを測定します。基板の測定を行うテーブルには複数の穴が開いており、バキューム装置で吸着して固定することで、安定した測定を行うことができます。
基板はく離機構
基板を取り出す際、静電気等により2枚取り出してしまう場合があります。材料の側面からエアを吹き付けて基板同士をはく離させることで、2枚持ちを防止します。
基板厚み測定機構
基板はく離機構を用いても、まれに2枚持ちが発生します。2枚の基板をプレス加工すると、金型が破損する恐れがあります。接触センサを用いて基板の厚みを測定し、トラブルを未然に防ぎます。基板の表と裏から接触子で挟み込むことで、基板が反っていても正確な厚み測定が行えます。
基板搬送機構
ロボットアームの先端に、内部が空洞となったフラットバーを固定しています。下面には複数の穴があり、バキューム装置で基板を吸着します。先端の吸着パッドユニットは着脱式になっており、基板形状に合わせて付け替えが可能です。
抜き枠排出機構
プレス加工後の抜き枠をベルトコンベアで排出します。ベルトコンベア上部にローラーがあり、エアシリンダを使用して抜き枠を挟み込みます。抜き枠の排出を確認するために、近接センサを使用したゲートを装備しています。抜き枠が金型上の突起に引っかかることが無いように、排出機構を傾けて抜き枠を持ち上げることができます。